こんにちは。
スイスと言えば、アルプスの牧歌的なイメージや時計・金融といったイメージが強いですが、スイスは「永世中立国」としても有名です。
そして非武装中立ではなく、スイスは国民皆兵制の武装中立国なのです。
各家庭にはシェルターがあり、銃も配付されています(銃弾は厳重に管理されてはいます)
また橋や道路などのインフラも有事の際に軍事的に利用できるように設計されていて、「自分たちの国は自分たちで守る」という意識が徹底されています。
そんなスイスですが、2014年2月17日にやらかしてしまいます。
スイスの都市ジュネーブにある国際空港にハイジャック犯に乗っ取られた旅客機が着陸したのです。
この「エチオピア航空702便ハイジャック事件」とよばれた事件は、最終的に犯人は逮捕されて、乗員乗客は全員無事と解決したのですが、問題はスイス軍にありました。
・本日の営業は終了しました!
乗っ取られた旅客機が空港に着陸したのは午前6時頃。しかしスイス空軍の業務時間外(平日午前8時~12時、午後1時半~午後5時が稼働時間!)に発生したので戦闘機によるスクランブルは行われずに、お隣のフランス空軍に頼らざるを得なかったという事実が明るみにでました。
国民皆兵制度と重武装中立を掲げ、実際永世中立を守ってきたスイス。
その領空を守るべき空軍が平日の日中しかスクランブルが出来ないという事実は国民に衝撃を与えます。
理由は、冷戦終結後の平和な国際情勢からスイスの国防予算も減らされて空軍の運用体制まで縮小されていたからです。
当然改善を求める声が大きくなり、段階を経て2020年12月31日から年中無休・24時間でスクランブル発進できる体制になりました。
・他人事ではない日本
スイスが年中スクランブル体制になったのはつい最近なのですね。
しかしこれは笑いごとでは無かったと思いますし、日本も決して他人事ではないと思います。
来年で戦後80年を迎える日本。日本国憲法は平和憲法として世界に先駆けて「戦力放棄」を謳いました。
しかし周辺国に争いが絶えず、今日の自衛隊が存在する訳です。
平和憲法で硬性憲法と言われる改正のハードルが高い憲法はアメリカの陰謀とも言われますが、問題はそこではありません。
・自分の身は自分で守る
災害時に「自助・共助・公助」の順で対応しましょうと言われています。
自助とは自分で自分を助ける。共助とは地域でみんなを助ける。公助とは自治体や国の救助・援助を言います。
これを国家の安全保障に当てはめれば、先ずは「自助」つまり自分で自分たちの国を護るということです。当たり前ですね。
そのための文字通りの「自衛隊」なんです。
私はひとはいつか解りあえると思っています。と同時に現世では解りあえないとも思っています。
個人でも、国家でも、解りあえないのです。であれば、解りあえない相手には相応の対応をしなくてはなりません。
そして日本という国は、軍事のことに話題が及ぶと途端に白か黒みたいな議論になってしまいます。
「戦後80年間、戦争に巻き込まれなかったのは平和憲法があるからだ」みたいな盲目的なお話まで飛び出してくる始末。
歴史を紐解けば、日本人は元々とんでもない戦闘民族だったんです。
平和憲法は否定しませんが、それだけを錦の御旗にするのは思考放棄だと思うのですがね。
スイス空軍のスクランブル体制が整っていなかったことも構図としては全く同じだと思います。
軍備や憲法改正について議論することすら避けようとする風潮。
勿論、戦争は全力で否定しますし、そうなった場合は外交上の失敗だとも思います。
しかし、国家間でも解りあえない国が近くに存在しています。そういった国々に平和憲法だけで対応出来るのでしょうか?
言葉は悪いですが、ひと言でいえば「平和ボケ」。
日本もこの「平和ボケ」に長らく侵されています。スイスの件を「他山の石」として、そろそろ学習と現実的な議論をしていかなければならない、と思います。
最後までお読みいただきありがとうございます!