※このページの画像は全て大林組さんのホームページからお借りしています。
こんにちは。
今回は私の大好物「SF」からの話題です。
軌道エレベーターってご存知ですか?宇宙エレベーターとも言われて、実際にはまだ存在していませんが、100年前からその考え方はありました。
簡単に言うと、地球面(地上)を1階として宇宙まで届くエレベーターを建設しようという構想です。
19世紀末に産まれ、後に「宇宙工学の父」と呼ばれる旧ソ連の科学者「コンスタンチン・ツィオルコフスキー」さんが、「赤道上にタワーを建設して昇っていくと次第に重力が減少していずれ重力のない空間(宇宙空間)に到達する」と考えました。
地上から建設するので「宇宙タワー」とも言うべき構想です。
いずれ重力の無い空間、つまり赤道上空36,000キロメートルの「静止軌道」のことです。
36,000キロもの高さのタワーを作るのは現代の技術でも現実的ではありません。
1960年に同じく旧ソ連の工学者「ユーリ・アルツターノフ」さんが「タワーじゃなくて静止軌道から地上にロープを垂らして伸ばしていけばいいんじゃね?」というアイデアを考案。これが軌道エレベーター構想になっていきました。
そしてSF作家のビッグ3のひとりである「アーサー・C・クラーク」さんが「楽園の泉」という小説の中で軌道エレベーターの存在する未来社会を描いたことで、広く知られるようになりました。
・実現出来るの?
さて、実際に軌道エレベーターを作るにあたっての最大の障壁が「素材」でした。
例えば静止軌道から36,000キロの長さのワイヤーを垂らしたとします。36,000キロってとんでもない長さですよね。そしてそのワイヤー自体の重さもとんでもないことになり、どんな素材を使ってもワイヤー自体の重さに耐えきれず切れてしまいます。
ワイヤーが無ければエレベーターは作れませんね。なので軌道エレベーターは実現がとんでもなく難しいと言われていました。
しかしここで日本発の素材の登場です。
・カーボンナノチューブ
1991年に物理学者「飯島澄男」博士がカーボンナノチューブを発見しました。
カーボンナノチューブの詳細は割愛しますが、鋼より軽量でかつ強度は約20倍。この素材により自重で切れないワイヤー製造の可能性が出てきました!
・ロケットがあるじゃない
そもそも宇宙に行く手段として既に人類は「ロケット」を手にしています。今更軌道エレベーターを作っても意味ないんじゃ?と思われるかもしれません。
しかし軌道エレベーターが実用化されるとロケットとは比較にならないほど効率的に宇宙に行けるようになるのです。それはズバリ「コスト」の違い。
バカでかいロケットですが、重量の約90%は「燃料」なのです!それだけの燃料が無いと重力を振り切れないとも言えます。
日本が誇る「H2A」ロケットの場合、第一段階と第二段階合わせて118トンの燃料が積まれています。それで静止軌道への打ち上げ能力は4~6トン。
一概に言えないのですが1キロあたりの打ち上げコストは100万円以上と言われています。
軌道エレベーターはまだ出来てもいないので計算は難しいでしょうけど、概算では1キロあたり1万円程度にできるとも言われています。
またロケットはスペースX社の一部のロケットを除いて基本的に使い捨てです。更にロケット打ち上げは環境にかかる負荷も大きいのです。
環境面でも軌道エレベーターは有利と言えます。
・でもお高いんでしょ?
これもあくまで概算なのですが、建設費用は10兆円と言われています。日本の国家予算の10分の1。しかし東海道リニア新幹線の建設費が9兆円(現在進行形で膨れ上がっていますが)なので、現実的と思いません?
・仕組み
図で見て貰った方が判りやすいです。
総延長96,000キロという途方もない設備になります。
エレベーターの途中にある「火星重力センター」「月重力センター」は、火星・月と同じ重力になる高さで、将来的な火星や月での活動の実験が出来るとのことです。
また高さにより低軌道、静止軌道、火星へ、そして他の惑星へと向かうゲートを設置。
いやぁ、SF好きじゃなくてもワクワクしてきませんか?
NASAもESA(欧州宇宙機関)も研究していますが、日本では「大林組」が研究・設計をしています!
まだまだ解決すべき点も多いと思います。だけどSFの世界の建築物が現代の技術でも実現可能まであと一歩まで来ているのです。
大林組のタイムスケジュールでは、2025年に建設開始したとして2050年には実用化するとあります。
2025年というと来年。まぁ来年からは無理だとしても2030年あたりにはなんとか目途をつけてもらいたいものです。頑張れ大林組!
宇宙に低コストでひとやモノを運べる施設。このような研究・開発にこそ政府はリソースを使ってほしい!
なぜなら、建設が5年遅れだとして実用化が2055年。その頃には私は生きていれば85歳。なんとか宇宙旅行の夢が叶うかもしれません!(という私欲です 笑)
最後までお読みいただきありがとうございます!