「生保脳」と「損保脳」

こんにちは。

今回は私の本業である「保険」についての記事です。レアです(笑)

・保険って?
以前の記事でも書きましたが「みんなでお金を出しあい、もしものときに備える」仕組みです。
公的な保険(健康保険や介護保険)も民間の生命保険(生保)も損害保険(損保)も、大まかな仕組みは同じです。
なので一般的に「保険屋」というと「生命保険も損害保険も取り扱っている」イメージだと思いますし、大方その認識で間違いはありません。

しかし保険を売っている「募集人」業界では「生保が得意」とか「損保が得意」などという傾向があります。これには2つ理由があります。

1:スタート違い
生命保険を主に売ってる募集人は生命保険会社に所属していてその会社の商品を売る。所謂「一社専属」という募集人が多いです。
所謂「保険のおばちゃん・おっさん」など昔からのステレオタイプのイメージです。
生命保険会社に所属するので生命保険を売ってナンボです。損害保険は添え物扱いだったりお客さんに言われたら販売するといった感じです。

対して損害保険を主に売ってる募集人は損害保険会社へ研修生として所属し、研修明けに独立したり損害保険代理店に所属したりするひとたちです(私もここに入ります)
損害保険をメインに扱って、生命保険はこれもお客さんに言われたら売るといったスタンスのかたが多い印象です。

生命保険・損害保険それぞれスタートが違っても例えば生命保険の募集人からスタートしても損害保険をメインに売るひともいたりします。

2:手数料体系の違い
生命保険の手数料は、各社違うのですが一般的には「8L」とか「8平準」とか言われる手数料の支払われ方があります。
「8L」とは、契約後一年間は大きな手数料で2年以降8年までは少ない手数料となり、グラフにして横から見るとアルファベットの「L」のように見えるので「8L」と言われています。
「8平準」とは8年間手数料を平準して貰える体系で、一年目に大きく貰えない代わりに8年間平均的に手数料が入る仕組みです。
それぞれメリット・デメリットもありますが、大抵は「8L」が多い印象です。(先に貰えるものは貰っておこうといったところでしょうか)
逆に言えば8年で手数料収入は終わってしますのです。

対して損害保険はお客さんが支払った保険料の何%かが手数料として貰える仕組みです。
例えば月5000円の自動車保険に入って貰ったとしましょう。手数料率は保険会社や代理店によっても違うので一律には言えないのですが、
手数料率10%だとすると500円の手数料が毎月入ってくる計算です(実際はもっと複雑な計算方法です)そして契約がつづく限り手数料も貰えることが最大の違いです。

生保・損保どちらが儲かるという話ではなくて、報酬体系としてドカンと大きく貰えるのが生保で、毎月(毎年)少しづつ積み重ねるのが損保というイメージです。
言わば生保は「マグロの一本釣りの狩猟型」、損保は「コツコツ畑を耕す農耕型」と言えるでしょう。

そうすると募集人の営業スタイルも自ずと違ってきます。
生保は兎に角「新規契約」を如何に増やすかに重きを置くスタイル。新規契約には見込み客のアポイントが如何に沢山あるかにかかってきますので「アポ重視」となります。
対して損保も勿論新規契約が無いと収入拡大出来ないのでここは一緒ですが、継続して契約が続いていると手数料も継続して入ってくるので「継続重視」にもなります。

世間一般のイメージでは「保険屋さんはガツガツしている」というのは生保の世界ではあながち間違ってないのですが、生命保険の募集人はガツガツしていないと契約=収入に結びつかなくなってしまいがちなのでそうなっていきがちです。
損保も新規契約が無いと収入拡大にはならないのですが、既存客とのコミュニケーションも大切でありそこから紹介や追加販売も出てくるので、また毎年更新する自動車保険などでは毎年顔合わせすることも多いので既存客を回ることが多くなります。

そのように営業スタイルも変わってくると「生保脳」と「損保脳」と勝手に私が名付けましたが考え方も変わってきます。
生命保険は「保障」障りを保つ、損害保険は「補償」償いを補うと書きます。同じ「ほしょう」でも意味合いが違ってきます。

なので生命保険をメインとする募集人は「ひとの生活に係わる安全保障」に重きを置いて主にひとの生活・病気や生き死にに係わる金銭的問題の解決、
そして手数料形態から新規契約を追いかけ続ける「狩猟型」な傾向が強いのです。

損害保険をメインとする募集人は「第三者への賠償」金銭的な補償(償い)に重きを置く傾向があります。
こちらも手数料形態から既存顧客と密にコミュニケーションをとる「農耕型」の傾向が強く思います。

生保・損保どちらも得意で販売しているひとも勿論います。そしてどちらが良いとかは全くありません。
ただ、保険会社によって多少の商品力の差はあります。生命保険は特に顕著です。
「沢山の保険会社を取り扱っているのでその中からお客さまにベストなプランをご提案します」という側面も確かにありますが、
ホントに理解しているかどうか、疑問に思う方もいます。これはまた改めて別の記事にしようと思います。

今回はそんな保険募集人の世界の一端をご紹介させて頂きました。

最後までお読み頂きありがとうございます!