
こんにちは。
今日、8月4日は「箸の日」。語呂合わせのまんまですね。
お箸は中国が発祥で、その影響下にある東アジアを中心に用いられています。
因みに世界的に見ると、お箸圏は30%、ナイフフォーク圏も30%、残りの40%は手食圏。
つまり手で直接食べる文化圏が一番多いのです。
「お箸の国のひとだもの」と昔のCMでありましたが、日本はお箸圏。お箸を通して食事の所作、レ礼儀作法、更には食材への敬意まで表していた利します。
しかし、同じ日本の食文化の中で、あえて「手」で食べる料理があります。
そう、お寿司ですね。
実は寿司は、箸よりも手で食べるほうが本来のスタイルに近い料理のひとつです。
・箸の文化とその意味
箸は古代中国から伝わり、奈良時代には貴族階級の食事に取り入れられたと言われています。
その後、木製や竹製の箸が庶民にも普及し、日本独自の繊細な料理文化とともに発展しました。
魚の骨を避ける、豆をつまむ、刺身を崩さず持ち上げる――箸は、食材を美しく、そして丁寧に口へ運ぶための道具として磨かれてきたのです。
日本の「箸使いの作法」には、食べ物や作ってくれた人への敬意が込められており、単なる道具以上の文化的価値を持っています。
・手食文化としての寿司
一方で、江戸時代に誕生した握り寿司は、当初は立ち食いの「ファストフード」でした。
屋台で手軽に食べられるよう、箸を使わずに指でつまんで口に運ぶスタイルが基本だったのです。
寿司を手で食べることには利点もあります。
・ネタとシャリが崩れにくく、口に運びやすい
・手の温度でシャリの硬さがわずかに調整され、風味が立つ
・醤油をつけすぎず、美しい形を保てる
現代では衛生面や作法を気にして箸を使う人も多いですが、実は寿司職人の多くが「手食」を推奨しています。
つまり、箸と手、どちらも日本の食の美意識を反映した立派な文化なのです。
・もうひとつの手食
おむすび(おにぎり)です。おむすびの原型は、奈良時代以前にさかのぼるといわれています。
当時は「屯食(とんじき)」と呼ばれる蒸した米を手で丸めた食べ物が、祭礼や戦場、農作業の場で振る舞われていました。
おむすびという呼び名には、「産霊(むすひ)」――天地万物を生み出す神秘の力という意味が隠されています。
人が手で握ることで、その力を宿し、食べる人の無事や健康を願う。
おむすびは単なる食糧ではなく、「祈りの形」として誕生したのです。
おむすびが箸ではなく手で食べられてきた理由には、以下のような背景があります。
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神聖な手の力:古代の人々は、手には“清める力”“命を伝える力”が宿ると考えました。
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携帯性と実用性:戦や旅、農作業の合間に、器や箸を使わずにすぐ食べられる便利さが求められました。
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直感的な食感:手で食べることで、米粒のほぐれ具合や塩加減をより素直に味わえる感覚があります。
また、素手で握った温もりは、食べる人にとって安心や家庭の温かさを感じさせるものでもありました。
コンビニのおむすびも良いのですが、おむすびはやっぱり「手でむすんで」「手でいただく」。
これに尽きますね。
・お箸と手食の国だった
コンビニ弁当にも当たり前のようにお箸が付いてくる日本。基本「お箸の国」なんですが、お寿司やおむすびなど、ごく身近なところで「手食」だったりします。
これも日本独自と言うか日本らしくて素敵だと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます!