光化学スモッグの日に想うこと

こんにちは。

1970年7月18日に日本で初めて「光化学スモッグ」が発生したとされています。
環七通り近くにある東京立正中学校・高等学校で生徒43名がグランドで体育の授業中に、目の刺激やのどの痛みを訴えました。
もっと以前から発生はしていたのでしょうけど、この事例をもって日本初と言われています。

光化学スモッグとは、工場や自動車から排出されるガスに含まれる窒素酸化物や炭化水素が太陽光に含まれる紫外線により光化学反応を起こしてオゾンなどが発生する現象です。
オゾンというと紫外線から守ってくれる味方のように思われますが、オゾンは強い酸化力を持ち殺菌・消毒に用いられます。ということは生物にとって毒にも薬にもなるということで多すぎれば害があるということです。

私が子どもの頃はピークだったように記憶しています。しょっちゅう「光化学スモッグ注意報・警報」が発令されましたと放送があり、屋外での活動を控えるように言われた記憶があります。

アメリカでは1940年代からロサンゼルスで発生し、社会問題になりました。自動車からの排気ガスを浄化しようという法案(大気浄化法、所謂マスキー法)が1963年に制定されました。
しかしアメリカのビッグ3と呼ばれる巨大自動車メーカー(ゼネラルモータース・フォードモーター・クライスラーモーター)の反発もあり、その後の法案改正でどんどんザル化していきます。
日本メーカーであるホンダはCVCCというエンジンを開発し基準をクリア。マツダもロータリーエンジンのサーマルリアクターという装置を使ってクリア。

日本国内でも「昭和48年排ガス規制」から段階的に規制強化していき、「昭和53年排ガス規制」は日本版マスキー法と言われ世界一厳しい基準とも言われました。
1年から3年で検査を受けなければならない所謂「車検制度」のある日本では車検時に排気ガスも検査されます。車検のない諸外国と違って車検をパスしなければ公道を走れなくなってしまうので、外国自動車メーカーからは軽自動車と相まって間接的な外国車締め出しとも言われています。
元々資源の乏しい日本、そして公害が社会問題化してきた当時では「クリーンな排気ガス」「低燃費」が望まれて、ついにはトヨタの「ハイブリッド」に繋がっていくのです。

そしてそのハイブリッド。以前の記事でも書きましたが、欧州のハイブリッド対抗で登場したクリーンディーゼルも不正で自滅し、ついにはBEV(完全電動車、所謂電気自動車)が対抗馬として挙げられてきます。
そのBEVも中国メーカーに席巻されるなど、欧州の迷走ぶりが際立ってきています。

先日もパリオリンピックにトヨタの燃料電池車「ミライ」が採用されたことを撤回要求するという記事が出ました。
曰く「世界の水素の96%は今もメタンガスなどの化石燃料から製造されている。つまり、水素自動車のほとんどはバッテリー式の電気自動車(EV)に比べて汚染度が高く、従来のエンジン車よりも多少クリーンな程度にすぎない。」という理屈です。
まぁいいがかりに近いものがありますね。

昔から問題が発生し法で対応し技術で克服するというのは正常な文明の発展なのだと思います。
しかしやっぱりそこには各国の「国益」があり、出る杭は打たれてしまうのです。悲しいけど光化学スモッグが問題になった当時と大して変わりはないんですね。

光化学スモッグは今では排気ガス浄化を受けて減りましたが、それでも発生します。気を付けて行かなければなりません。
でも確実に減ってきているのです。これは喜ばしいことであり、昨今話題のSDGsの先駆けと言っても良いと思います。
勿論簡単な道では無かったと思います。新しい技術を開発した技術者や法制度を考えた方々、諸外国と渡り合った先人たちには敬意を表します。
より良い方向を示し目指し、確実に成果が出た。それは純粋に誇るべきことだと思います。
昨今元気のないと言われる日本ですが、まだまだこれからだ!そんな風に思います。

最後までお読み頂きありがとうございます!