こんにちは。
1910年(明治43年)の4月20日、長野県の塩川伊一郎さんという方が明治天皇に「いちごジャム」を献上しました。
これを記念として4月10日を「ジャムの日」として日本ジャム工業組合が2015年に制定しました。
自称「ジャムおじさん」としては見逃せないですね(笑)
日本に於けるジャム作りは1877年(明治10年)に勧農局(当時の農業振興を掌る内務省の内局)が試作して販売したことが始まりとされ、その後前述の塩川伊一郎さんが1881年(明治14年)に缶詰のいちごジャムを販売しました。
実に29年掛かって皇室献上品となったのですね。素晴らしい!
私は6月か7月になると(勝手に)代名詞(と思っている)「梅ジャム」を作ります。
詳しくは「自己紹介」をご参照頂ければと思います。
しかし私の世代で「梅ジャム」と言えば「梅の花本舗の梅ジャム」を思い浮かべると思います。
「梅の花本舗」という会社で70年に渡り作られてきた商品です。
こちらは高林博文さんという方が、1947年(昭和22年)から個人で作り販売されていました。
時代と共に駄菓子屋さんもだんだん少なくなり、2017年に惜しまれながらも廃業しました。
これだけ長く販売されていて愛された商品だったので、同業他社から「生産を引き継ぎたい」という申し出や、後継者に名乗りを挙げるひとも出てきました。
しかし高林さんは「自分にしか作れない。未練は一切ありません。駄菓子屋が無くなって子どもは買わなくなった。今はやり遂げたおもいしかありません」と自分一代で幕を閉じることを選択しました。
昨今は中小零細企業や職人の後継者不足が叫ばれて久しいです。
2025年には日本の中小零細企業の3分の1にあたる127万社が廃業のリスクがあるそうです。
企業買収市場も活況になっていますね。
事業継承は日本の競争力を維持するには欠かせないことなのでしょう。
しかし次世代に引き継ぎたいと外野が思っていても、創業したひとが一代で終わりと言えば終わりなんですね。
買収や合併、所謂M&Aで商品や技術を次代につなげていくことはとても素晴らしいことです。
しかしそこには数字やモノや金額の話はあっても創業者の想いや感情論が抜けているのかも知れません。
IT化が当たり前になってきたこの世の中、いやITなんて既に当たり前すぎて言わなくなってきましたね、今やDXですか。
そしてAIの時代になりました。もうね極論だけど政治や行政はAIに任せてしまった方が上手くいくと私は思いますよ、実際。
しかしひととひとが繋がる世の中である限り、そしてひとから感情が無くならない限り、ひとはひとからモノやサービスを買うのです。
AIによって奪われる職業ランキングとか良く見ますけど、ひとの本質はそうそう変わらないと思います。
子どもの頃駄菓子屋で食べた「梅ジャム」がもう味わえないのは寂しいのですが、高林さんは梅ジャムを残すことを選ばなかったのです。それは創造したひとの権利だと思いますし、我々世代の記憶に残れば良いという選択だったのだと思います。
世代と共に消えていく運命と言えばその通りなのですが、ひとの「想い」は永遠だと思います。
「そこに想いはあるんか?」
最後までお読み頂きありがとうございます!