言葉に「こだわる」

こんにちは。

気が付けば8月もそろそろ終わりを迎える時期ですが暑さも衰えを見せず、更新もすっかり滞ってしまっていた荒井です。
暑さのせいではありません。私の怠慢です(苦笑)。

久しぶりの更新で何か特別な話題がある訳でもありませんが(笑)、今日のお題は「こだわり」について。

・「こだわる(拘る)」の意味は?
本来の意味は
「すらすらと行かないで、ひっかかったりつかえたりする。」
「気にしなくてもいいようなことが心にかかる。気持ちがとらわれる。」
という意味でどちらかと言えば否定的な意味合いで使われることが多かったのです。
例えば
「ささいな失敗にこだわる」
「つまらないことを必要以上に気にする」
「つまらないことに心がとらわれている」
という使い方です。

 また昔の作品でも
「脇指(わきざし)の鍔(つば)がよこっぱらへこだわっていてへのだ」(十返舎一九『東海道中膝栗毛』)
 「それ程拘泥(こだ)はらずに、するすると私の咽喉を滑り越した」(夏目漱石『硝子戸の中』)
「拘泥(こうでい)」も「こだわる」という言葉と同じ意味合いですね。

なので本来はネガティブなイメージで使う言葉であったようです。

・ポジティブな「こだわり」
しかし比較的最近では「細かいところまで手を抜かない」「妥協せずよりよい価値を追求する」というポジティブなイメージで使われることがあります。
例えば、
「こだわりの逸品」
「鮮度にこだわる」などという表現があります。

ネガティブでもポジティブでも使い分けが出来る言葉であるのですね。

・年齢層によっての違い
少し古いのですが、平成27年の文化庁平成27年度「国語に関する世論調査結果の概要」によると、
16歳~19歳では新しい用法を使う傾向が、70歳以上では本来の用法を使う傾向が若干多く見られます。
年代の差によって意味の捉え方が異なる可能性の高い言葉であるとも言え、使い方と受け手の年齢層によっては良くも悪くも捉えられる言葉なので、用法用量を正しく使う必要があるまもしれません。

・言葉の細部に「こだわる」
荒井的には「こだわる」はポジティブなイメージが強くあります。決して「若者ぶってる」わけではありませんが(笑)。

日本には言葉に宿る力という意味で「言霊」という考え方があります。
ポジティブな言葉を使っているとポジティブになっていく。
ネガティブな言葉を使っているとネガティブになっていく。
これは間違いが無いと思いますが、では「こだわる」という言葉を使っているとポジ?ネガ?どちらになっていくのでしょう?

結論は「気の持ちよう」なのだと思います。
一言一句同じ言葉を別々のひとが語ったとしても、抑揚やトーン、表情や仕草、もっと言うと昼なのか夜なのか?晴か雨か?などの環境が違っても全く異なる意味にとられることもあります。

だからこそ、そういった細部にまで「こだわって」言葉を発するのが本来なんだろうとも思います。
発した言葉は消すことが出来ないのですから。

かくいう私もついつい余計な感情を乗せて言葉を発してしまうこともあります。そういった時には気が付いたらすぐに「ごめんなさい」をするように「こだわって」います。

そして受け手も自分の感情で言葉を受け取る。
つまり発する側も受け取る側も「気の持ちよう」で変わってくるところがあると思います。

 

そこまで「こだわって」会話をしていたら相当気疲れしそうですが(笑)、
「言葉には気を付けなさい。それはいつか行動になるから」というマザーテレサの名言を肝に銘じて、「なるべく」細部に「こだわって」いきたいと思います。

「神は細部に宿る」のです。

最後までお読みいただきありがとうございます!