後出しじゃんけん

こんにちは。
時事ネタはあまり扱っていませんでしたが、ここのところのダイハツの不正の問題はとんでもないことになっていますね。

今回の件とは関係無いけどダイハツはスズキのワゴンRが爆発的に売れたからムーヴを作ってみたり、同じくスズキのハスラーの対抗としてキャスト→タフトと売り出してみたりと個人的には以前からどうかと思ってもいた。
まぁ新しいジャンルを賑わす意味では良いのかもしれないけど、ビジネス的には「後出しじゃんけん」は理にかなってはいます。そんなお話です。

全く新しいモノやサービスを作って受け入れられる(売れる)ことは素晴らしいことだと思います。
しかしそんなに簡単にはいかないものだし、パイオニアは得てして受け入れられないことも多いです。後から販売された商品やサービスのほうが売れる場合があります。

例えば自動車。今では高級ミニバンといえばトヨタのアルファードが大人気ですね。でもこの高級ミニバンというジャンルを開拓したのは1997年に販売されたE50型ニッサンエルグランド。
それまでのミニバンってハイエースの乗用タイプやキャラバンの同じく乗用タイプで元々商用車をベースに作ったクルマが多く(トヨタのグランビアもありましたが)
乗用車っぽく仕上げてあるもののキャブオーバー(エンジンの上に運転席があるつくり)で何処か「バン」のイメージが抜けないクルマばかりでした。
エンジンをフロントに置いて広い室内とメッキ類を多用したエクステリア、高い操縦性を持ったエルグランドの登場によって高級ミニバン(LLサイズ)というジャンルが確立されました。
私も以前に乗っていたことがありますがFRレイアウトのエルグランドはなかなかに走る乗ってて楽しい良いクルマでした。
しかし2002年にエルグランドがフルモデルチェンジを行ったタイミングで登場したのが初代アルファード(10系)。
当時試乗しましたがFRのエルグランドのほうが走りと安定性は良いのです。所有しているひいき目かもしれませんが「これならエルグランドのほうがいいな」と思いました。
しかしアルファードはFFレイアウトを最大限に生かしての広い室内とトヨタらしい豪華なインテリアでたちまち人気車種になります。
最盛期には月1万5千台くらいの販売数を誇っていたエルグランドですが、2021年8月現在とちょっと古いデータですが月間販売台数がアルファード6483台に対してエルグランドは500台にも満たないという惨状…
つまり私のような「走り」に主眼を置くユーザーは少数派で、インテリアの豪華さや装備が市場に受け入れられたという訳ですね。

元々トヨタは「後出しじゃんけん」が得意なメーカーです。少し改良したり豪華にしたりして商品力を上げて、販売網の力で売る。うん、理にかなっている。
世の中も「パクリ」から「リスペクト」と言い換えてみたりしてね。

でもビジネスとしては、わざわざ全く新しいモノやサービスでリスクを取るより2番煎じ3番煎じを狙っていくことは正しい戦略だったりします。
元々、日本は戦後復興の中で欧米の製品を真似て改良するのが得意だったようで、今の中国をパクリばかりとは言うのはどうかとも思います。
有名なネットの落書きで
製品はドイツが発明し、アメリカが製品化し、イギリスが投資をし、フランスがブランド化し、イタリアがデザインし、日本が小型化・高性能化し、中国がパクリ、韓国が起源を主張する
ってのがありますが、パクリは日本もお家芸だったりします(笑)

新しい市場が形成されるようだったらそれに乗っかるのも別に悪いことではないということです。
ただ十分にリサーチする必要はあります。例えば少し前に高級食パンが流行ってあちこちにお店がオープンしましたが、今残っているお店はごく少数です。
これはブームに乗っかるという戦術は悪くないのですが、元々の高級食パンのマーケットがそんなに大きくはなかったことが撤退する要因だと思います。
そりゃそうですよね、お高い食パンばかり毎度食べるのもどうかと思いますし、ふわふわに仕上げるために砂糖も多めに入っている甘めの食パンです。そんなにリピートしないですよね。
言わば後出しじゃんけんで「あいこ」を狙っているようなものです。
唐揚げ専門店もそうですがこちらはまだマーケットが高級食パンより大きいからまだ保っているだけだと思います。
後出しじゃんけんするならキチンとリサーチをして市場のニーズに合致する後出しをしなくてはなりません。

人間の成長自体が実は「真似」から始まります。子どもは親の真似をして成長していきます。
ビジネスでも上司や先輩の真似をしますよね、職人の世界なんて「盗む」くらいですから。
所謂「守破離」と同じでなんでも先ずは「真似」から始まるのです。

すみません、ダイハツ問題から守破離に話が行くとは思いませんでした(笑)良い子は「真似」しないように(笑)

最後までお読みいただきありがとうございます。